パレード(幻冬舎文) 吉田修一 感想

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あらすじ

東京都内のありふれたマンションの一室で、共同生活をする男女4人の若者たち。18歳の男娼、サトルがシェアハウスに加わった後も5人はなんともいない距離感をとりながら、「上辺だけの付き合い」を続けていく。それぞれ悩みを抱えながらも、マンションでの暮らしは軽薄で、実りがないながらも、どこか明るいものだった。しかし、ある事件をきっかけとしてこの奇妙な生活の残酷な一面が明らかになる。

 

 

 

感想

久しぶりの更新になります。というのも、リアルの方で少し忙しかったというのもありますが、ブログそのものに飽いてしまった…というのが一番の理由でした。ですが、久しぶりに「読書っておもしれー」的な体験をしたので何かこの感動を共有する方法はないか…と考えた結果、ここに至りました。(それくらいこのブログの存在を忘れていました。)

まああれですね。ブログだからって毎日書こうとか気張っちゃうとかえって続かなくなるということがわかったので不定期でマイペースに更新していきたいと思いますわ。

自分のどうでもいい決意表明はさておき、この小説について。

舞台は都内のマンションの小さな一室。に住む平凡な若者4人(のちに5人)を中心に物語は進みます。まずこの4人だか5人だかの関係についてなんですが…なんというか、妙にリアル。大体みんな大学生を卒業するかしないかくらいの年齢。で、現役大学生のじぶんはよーく知っているのですが、この年代の若者の関係のまあなんと希薄なことか。自分もシェアハウスにあこがれていた時期はありましたが、実際、出会って1年もたたないようなやつと同じ屋根の下で暮らすというのはなんだか落ち着かない話かもしれません。この作品ではそんな微妙な関係の描写が非常に秀逸。一緒に暮らしていながら、どこかで心を開かず、かといってシンケンなお悩み相談を突っぱねるほどには殺伐としているわけでもなく、「優しく怠惰に続く共同生活」という言葉で表されてますが、まさにそんな感じです。

「上辺だけの付き合い?私にはそれくらいがちょうどいい」

とはこの作品の登場人物の言葉ですが、その「上辺の付き合い」にはある種の心地よさ、それも麻薬的なものがある一方、やはりどこか「歪み」が存在するのです。

これ以上はネタバレになるので詳しくは書けませんがなんというか、怖い作品です。もちろんホラー的、サイコ的な意味での怖さではありません。なんというか、上辺の付き合いにずぶずぶの我ら大学生からしたら痛いとこついてくるなー。的な。現実にあるもの、あえて目をそらしてるものの真実を目の前に突き付けられた感じがしました。

何言ってんのかわからんと思うので続きは本書でよみましょう(適当)

いやー心を開ける友達ほしいわ(切実)